はじめに|猫の舌は“多機能ツール”
猫の舌は、ただ食べ物を舐めるための器官ではありません。
毛づくろい、飲水、食事、体温管理、親猫と子猫のコミュニケーションまで、猫の生活にとって欠かせない多機能ツールです。
特に表面のザラザラとした突起は、狩猟動物として進化した名残であり、猫ならではの特徴を持っています。
本記事では、猫の舌のしくみ・役割・健康チェックポイントをまとめて解説します。
猫の舌がザラザラしている理由
猫の舌がザラザラしているのは、糸状乳頭(しじょうにゅうとう) という後ろ向きの突起がびっしり並んでいるためです。
●糸状乳頭の仕組み
- ケラチンという硬いタンパク質でできている
- 後ろ向きにカーブして生えている
- ブラシのような構造で、毛や肉を引っ掛けられる
この構造によって、猫は非常に効率の良い毛づくろいや食事ができます。
●ザラザラのメリット
- 肉をこそぎ取れる(野生の名残)
- 毛づくろいで抜け毛・汚れを除去
- 毛を整えて体温調節を助ける
- 水を飲む際に水柱をつくり吸い上げる
猫の舌は、生活のあらゆる場面で活躍する“万能ブラシ”です。
毛づくろい(グルーミング)で果たす役割
猫の舌の最も大切な役割のひとつが グルーミング です。
●身体を清潔に保つ
糸状乳頭が汚れや抜け毛、皮脂をしっかり絡め取り、
猫の体をいつも清潔に保ちます。
●体温調節にも役立つ
猫は汗をほとんどかかない動物ですが、
舐めた毛が蒸発する際に熱を奪うため、
体温調節機能 としても働きます。
●ストレス解消
グルーミングにはリラックス効果があり、
ストレスを感じたときに舐める行動が増えることもあります。
過度な舐めすぎは皮膚トラブルの可能性があるため要注意です。
食事のサポート|肉食動物の名残
猫の舌はもともと肉を食べるために進化した構造です。
●肉をこそぎ取る
ザラザラの突起は、獲物から肉を削ぎ取るのに最適。
ドライフードでも、舌で押さえて噛み砕きやすくしています。
●味覚は人より鈍感?
猫の味蕾(みらい)は人の約1/5ほど。
特に 甘味を感じにくい と言われています。
これは肉食動物であることが理由です。
水を飲むときの特殊なテクニック
猫が水を飲むとき、舌を「ひっくり返してすくう」のではなく、
舌先を高速で水に触れさせて 水柱を作り、その慣性で飲む という高度なテクニックを使います。
- 舌のスピードは1秒間に4回以上
- 表面張力と重力のバランスを計算した動き
- 無駄な水しぶきが少ない
非常に洗練された動作で、猫の身体能力の高さがよくわかるポイントです。
猫の舌が教えてくれる健康サイン
猫の舌の状態から、体調のヒントを得ることができます。
●チェックしたいポイント
- 色
→ピンク:正常
→白っぽい:貧血
→青紫:呼吸器・循環器の異常 - 乾燥
→脱水の可能性 - 口臭
→歯周病、腎臓病のサインのことも - 舐めすぎによる脱毛
→ストレス・皮膚病
舌の異変は見落とされがちですが、日常的に観察すると早期発見につながります。
猫がよく舐める理由と対策
猫は愛情表現としても舐めることがあります。
●舐める理由
- 愛情表現(子猫にする行動の名残)
- 匂いをつけて“仲間”として認識
- 飼い主が安心できる存在
ただし、しつこく舐められて痛い場合は、
無視する・そっと距離を取るなどの対策が有効です。
まとめ|舌は猫の生活を支える万能器官
猫の舌は、毛づくろい・食事・飲水・体温調節・健康管理など、
生活のあらゆる面で重要な役割を果たしています。
ザラザラした構造は肉食動物の進化の結果であり、
今の家猫にも、その名残がしっかりと残っています。
舌の状態や舐める行動をよく観察することで、
猫の健康や気持ちを理解する手がかりにもなります。


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